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2011-02-22

【更新用】根頭がんしゅ病Crown Gall覚書

バラの根頭がんしゅ病について、これまで何度か記事にしてきた。
ネット上で同病については、国内外問わず、学術論文~各種専門機関~バラ苗Shop~個人栽培家等々で取りあげられ数多くのサイトが存在し、これまであちこちから情報を得て、罹病時の対処法、注意点などさまざまな恩恵を被ってきた。
しかしながら、時に散乱しがちな異なる情報に惑わされたり、時に情報が古いために誤謬が含まれていたり、時にネット上を単に横滑りしているだけのページもあったり、時に他者受け売り(文章そのものでさえ)そっくりそのままなページもあったりで、その混沌さに驚き入谷の鬼子母神になり、自分の中で収拾つけられなくなったりすることもあった。下記に示した自分の過去ログにも、恐らく多くの誤謬が存在するのだろう。

生半可な知識は時に毒となる。

そりゃ、いかん!
過去記事上の間違いは、これまで調べてきた過程を示す物として自戒の念を込め、そのままにしておこう。その代わり、自分の出来る範囲で改めてまとめ直し、今後最新の学会情報などが目に留まったら更新し、「根頭がん腫病」についてリニューアルしていけるよう本記事を作成した。

そのため、本記事は書いている途中のままで、
加筆修正は随時行う予定は未定(と言い訳しておこうっと^^)


■根頭がんしゅ病は治る病気なのか?
本ブログUseful Linksにもリンクを張っているTakii Seed Netのバラ類 根頭がんしゅ病ページを改めて読み直した。

答え:直らない・・・あっさりしすぎ?
発病したら根治が難しい・・・これでどお?ダメか..。
んじゃ、このPDFから引用。
本病は病原菌の保有するTiプラスミドが宿主植物の染色体に組み込まれることによって発病することから、被害苗木を治療することはできない。
要するに、宿主の遺伝子を組み換えてしまうから、一旦発病すると元の体には戻れない(^^; 現在の所、根本的な治療方法はないとされている。
*ATのこうした性質を利用し最初に開発された遺伝子組み換え技術をアグロバクテリウム法という


■根頭がん腫病の病原菌は何?どんな菌?
上述したとおり、カタカナにしても長い名前のアグロバクテリウムツメファシエンスAgrobacterium tumefaciens(以下、便宜上、ATと略記)。

Agrobacteriumという学名(ラテン語)は、Agro-bacteriumと分ける。
agroはギリシャ語由来の「土壌」を意味する結合接頭辞。
だから、アグロバクテリウム*1)とは土壌細菌(バクテリア)のこと。

tumefaciensのtumeは増大/膨張するって意味かな?
tumefaciensで‘腫大物’とweblioにはある。

さて、バラ好きにとっての宿命のライバルとも言えるATは、好気性グラム陰性桿菌に属す土壌細菌。Wikipediaの該当ページを開くと、人参の細胞に取り憑いた付いたATの顕微鏡画像が出てくる。
棹状をしているのが分かる。グラム陰性菌の特徴である鞭毛を有し、運動性のある菌である。よって、土壌中を移動することが出来るが、土壌中棲息密度は、通常、決して高くないようだ。
しか~し、この土壌細菌は下記に示すとおり、極めて生き残りをかけるのに長けており、住処である土壌がかなり過酷な環境に置かれても、そう簡単にはへたばったりしない性質を持っているようだ。


■ATはどうして傷口から感染するのか?
植物が傷つくと、その傷口から樹液がこぼれ落ちますが、この樹液の中にはアセトシリンゴン(As)などのフェノール化合物や糖などが含まれており、A.tumefaciens はこれを感知して、その植物の傷から感染します〔ココから引用〕
アセトシリンゴンっていう植物ホルモンに惹かれるのね。
なるほどなるほど!
コガネ幼虫に囓られたりするときは、植物は防衛反応として植物ホルモンを分泌するから、その場合もATに狙われやすいって事だ!
因みに、双子葉植物と単子葉植物とでは、感染感度が異なるようだ(大部分の双子葉植物が感染するが、単子葉植物の場合はユリ目等一部に限られる)。その理由は植物の根の細胞壁化学的構造の違い?(素朴な疑問その1)


■根頭がん腫の発生条件・発症など
・ATの生育温度は0-37℃、14-30℃で良好生育。適温22℃、死滅温度51℃
・発症適温は高い(夏季に菌の増殖活発化、冬期に活動鈍らせ潜伏)
・pH5.7~9.2で生育,最適pH7.3。発症傾向は「酸性土壌<中性土壌」
・最適湿度は60%前後。湿度が高い方が発症しやすいとの実験結果あり。
・傷口から侵入し、潜伏期間は1w~3w、長いときは数ヶ月。
・感染した後、土壌伝染、接触伝染により拡大。
・ATは宿主植物なしでも土壌中で数年に亘って長く生存する。
・若い瘤や土壌中の残存破砕癌腫組織片中で越年し翌年感染源となる。


■ATの感染源
・土壌感染
・苗木感染(罹病苗木の移動により感染域拡大)
・接ぎ木ナイフ等による接触感染
・汚染された土壌に雨水がかかると土壌中を移動し感染拡大も?


■ATは植物体内をどこまで移動するのだろう?(解けない疑問)
根頭がん腫に罹病した植物の根に出来る瘤。
枝に瘤(カルスではない)が出来る場合もあるとか。
その感染経路としては、植物ホルモンの異常分泌を枝で促す指令が導管を伝って枝の細胞まで到達するという説がある。
一方、導管を通って病原菌が移動するのではなく、病原菌の付着した刃物などで枝などを切った場合に感染するという話もある。

今のところ、ATは
・典型的な傷痍感染菌であること(傷がなければ感染発症しない)
・根の周辺に付着するが、植物体内には存在しない
と考えられている。

んだが、瘤自体に病原菌は存在しうるのかについては・・・わからな~い。
どなたか真実をおせ~てたもれ^^


■バクテローズについて
商標名「バクテローズ(アグロバクテリウム ラジオバクター剤)」の登録番号は第17474号。1989年にバラの根頭がん腫病予防剤として生物農薬登録されている。生物農薬登録状況(平成21年12月31日現在)
海外では果樹(リンゴやブドウなど)にも使用されているが、我が国では非食用のバラ(エディブルローズ以外)への使用適用される微生物農薬である。
治療薬ではなく予防薬。
未感染苗への接種、希釈水には塩素を含まない水を使用、育成させる土壌用土の病原菌の低さ等、高い予防効果を得るためには幾つかの専門的な条件があるようだ。




以上、以下、疑問はたくさんあれど、書いてる途中ばっかり・・・^^


《関連記事》
本ブログ・ラベル「バラの病気(根頭がん腫病)」
これですこれ!根隗です!

バラの枝に出来る根隗。この記事のリンク先では枝に出来ると言われる瘤と根隗とを同一視する向きがあって、枝にがん腫が出ることに疑問を投げている。


《参照サイト》

---アグロバクテリウム関連---
アグロバクテリウム〔Weblio辞書より〕
根頭がんしゅ病〔島根県農業技術センター〕
遺伝子の導入方法~アグロバクテリウム法〔東工大Science Techno〕
遺伝子組み換え食品とは〔山形大学〕
澤田宏之 土屋健一「Agrobacterium属細菌の分類」〔日植病報69:349-365(2003)〕
太田光輝「Agrobacterium rhizogenes biovar 1 および 2 によるバラ毛根病について」〔日植病報 52(3), 413-421, 1986-07-25〕
土壌病原菌の土壌生態学的研究 : 第5報 根頭癌腫病菌に対する土壌諸要素の影響〔鹿児島大学農学部 権藤道夫〕

---バラの根頭がん腫病関連---
バラの根頭がん腫病抵抗性機構の解明と抵抗性台木の育成〔岐阜大学〕
自然土壌細菌を利用した植物根頭がんしゅ病防除法〔広島大学〕

根頭癌腫病探索メモ
枯れたバラのページ《twitterでnagukanさんが紹介》

---予防生物農薬:バクテローズ関連---
根頭がんしゅ病菌とバクテローズ〔日本農薬(株)〕
登録農薬概要〔農林水産消費安全技術センター〕
バクテローズを使用しているバラ苗の生産業者

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以前にも書いたけど、受け売りするならするで良いから、ちゃんと「どこのページを参考にしました」って典拠を示すのがネット上のマナーだと思うけど・・・特に、引用元が学術機関だったり通信販売のためのHPだったりする場合は、版権の関係上、注意が必要じゃないのかしら?そう書いても、まだ耳に届かないですか?目に入らないですか? 同じバラ好きさんだけど、礼儀知らずというか、コピーライトに繊細じゃないというか、度重なる「丸ごと受け売りのそっクリさん」一体何を考えていらっしゃるの?(これが、多くの人には不愉快な文章であることを予めお詫びしておきます。ごめんなさいm(__)m)

*1)かつてはアグロバクテリウム属(根頭癌腫病に関連する“Agrobacterium tumefaciens”を指すことが多い)として独立の属が与えられていたが、系統解析の結果Rhizobium属に含まれることがわかり、学名としては廃された(現在の学名はリゾビウムレディオバクターRhizobium radiobacter)。しかし、根頭がん腫病原菌は現在の所、分子生物学上、アグロバクテリウムツメファシエンスと特定されており、通称としての利用が多いため、本ブログでは以下、根頭がん腫病原菌として便宜上ATと略記している。
なお、1940年代にはA属細菌は以下の4種類に分類されていた。
1)AT:植物に根頭がん腫病をもたらす
2)A. rhizonenes:植物に毛根病をもたらす
3)A. rubus:Rubus属(キイチゴ属)植物から分離された根頭がん腫病原菌
4)A. radiobacter:対植物病原性はないが上記と区別できない土壌細菌

1980年代には、生理・生化学的性質による系統分類ならびに細菌学的検査による分類によってbiovar細分化。

1990年代には、分子生物学の飛躍的発展により、プラスミド上の遺伝子解析が行われ、それに基づき以下の4大別が主張されている。
・AT(上記biovar1)
・A. rhizogenus(上記biovar2)
・A. vitis(上記biovar3)
・A. rubi


注も書いてる途中^^

4 件のコメント:

  1. ATが「好気性」菌って言うところが、対処しにくい一番の原因かもですねぇ。
    当然植物の根っこも「好気性」ですから、ATの住みにくい環境は根っこにも過酷ってことになってしまいますからねぇ・・・

    で、ふと考えてみました。
    実はあと13鉢残ってはいるものの、ここまでみけ宅のバラでは今年もガンシュは見つかっていないんです。
    楽さんのところと結構苗の購入先なんかもだぶっているのにハテ?と思ったのですが・・・・
    ちょっと心当たりがあるのが 死滅温度51℃ってところ。
    ウチのベランダは日が当たりすぎぐらい当たるので、夏場などいちばん熱い時期には、もしかして鉢内の温度が死滅温度に達するのかも・・・
    こんな高温は根っこにもいいはずはないので、その辺日当たりの割りに花つきがいいとはいえないみけ宅バラたちの現状とあっているのかもと思うですよ。
    夏場に棒状の温度計でもぶっ挿して測ってみようかしら・・・

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  2. みけさんちのベランダって、確か人工芝が敷いてあるんでしたよね?で、その上にプランタースタンド置いて、鉢入れて~でしょ?鉢底がコンクリ床に接触していないから、どうだろ?50℃まではいかないかも?今年温度計入れてみて下さい(^0^)/
    んでもって、50度超えたら、みけさんちのベランダに土持って行って干させて下さい^^

    夏場コンクリ床上に水で湿らせた土をビニールの袋に入れて口を縛り置いておくと、土の温度は50℃近くになります。それで今年はがん腫苗用土を消毒してみようと考えてます。

    やっぱね、生産段階での罹病が確率高いと思うです。
    例えば、Maidyなんて、パテントの関係で本来なら流通してない品種だから、もしかしたらアマチュアの接ぎ木苗って可能性もあるわけで。
    後は、元々がん腫苗だったのは除いて、HCでの苗ですかね、がん腫だったのは。
    パピーやフランソンに関しては・・・(--)ですけど^^

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  3. おはようございます。
    よくまとめていますわ~ それでも疑問はまだまだあって・・・。

    鉢内の温度・・・バラの根の組織は何度まで耐えることができるのでしょう?
    検索しても分かりませんでしたぁ~
    情報提供できず---

    人間の感染と同様に考えると、細菌の濃度が高いほど感染されやすくなり、バラ自体の免疫力が低下すると発症してしまう・・・

    狭い敷地内、他のバラに感染させないのであれば良いのですが。

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  4. memさん おはこんちNamaste/^^

    参照サイトで挙げた鹿児島大学のCiNiiでは、鉢内の温度を最高40度までに設定してATの生育状況を観察したってなことが書いてありました。確かに、バラの根の生育温度帯ってどれくらいなんでしょうね?あの、ほら、Zone幾つとかっていう、栽培地気温との関連性はどれくらいあるんでしょね?(そもそも、Zone幾つってのをまともに読んだことがないもので^^)

    鉢植えの場合だと、羅病苗の植えてあった土・・・これを廃棄(焼?)処分するか温熱消毒するしか方途はないみたいですね。
    地植の場合だと、周囲の土を出来るだけ掘り出して、其処で焚き火をするとか?
    鋏やナイフの消毒も必要でしょうが、シャベル(根を切ったりするから)の消毒も必要になるのかも。

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